ネイル作品「墨染め」

NOBU Collection 2023 in Kyoto興聖寺

ネイル作品
「墨染め」

源氏物語の中で、源氏が二条院の桜を見て
藤壺を偲んで言いました。
自分が喪に服して着ている墨色の着物の袖と同じように

“今年ばかりは”
墨染めに咲け…

咲き誇る桜を見て最愛の人を偲ぶ想いを
このように表現した文学が平安時代にあったことに、
この想いを表現するために設定を桜の季節にした
紫式部の表現の豊かさに驚くのですが、
逆に、あの時代は
誰もが人生すべてを情だけで生きていたのかもしれない。

これこそ日本らしさでありきっと今の私たちにも流れていて最も大切にしたいことなのかもしれません。

あの時代の気配がそのまま残る京都 宇治の地で、
この作品は、彼らが目の前にふわりと舞い降りてきたような錯覚にさせられます。

指先から拡がる物語をー。

そのすべてを
黒の濃淡だけで表現しました。

「墨染め」2023.4
ジェル/水彩パレット/紙 /チェーン